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博物学を読む

仕事が一段落して多少早く帰れるようになったのは良いものの、馴染みのバーがどこも営業自粛していて非常に悲しい。いつになったら再開するんでしょう。
バイクの納車はまだ先だし、手持ち無沙汰にネットを見るとなんだかおかしな意見ばっかり目につく。暇な人が増えたからでしょうか。どうしちゃったんだろう。

見てると案惨たる気持ちになるので本を読もうかな・・・と言うわけでここ一ヶ月くらいで読んだ面白い本でもご紹介。

1. 大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件―なぜ美しい羽は狙われたのか


2020年読んだ本の中で一番のヒット。ここ数年、「眠れない一族」や「解剖医ジョンハンターの数奇な生涯」などの、ジャーナリストが書いたノンフィクションで傑作が色々ありましたがその中のひとつになったかな。

現代の鳥泥棒の犯行に及ぶまでのバックストーリーとその後の全く反省していない暢気な人生、それと平行して博物館の鳥たちが収蔵されることになった時代背景など、特に博物学者のウォレスに焦点を当てて書かれています。

最近博物学系の書籍に傾倒しているので、かなり面白く読めました。 博物学的な収集癖が民衆にもかなり広まっていたとは知らなかった。20世紀にはファッションのために絶滅するまで鳥が狩られ、21世紀には趣味のためにアマチュア美術家が博物館に泥棒に入って・・・と人の欲とは、と考えさせられます。昔の泥棒は博物館に売るが現代ではeBayに出品する。

しかもこの泥棒、元々ベルリン交響楽団のオーデション受けられるレベルのプロフルート奏者なんですが、名前を変えただけでまだ活動を続けているというのが信じがたい話です。

2.150年前のNATUREには何が書かれていたのか


To the solid ground Of Nature trusts the mind which builds for aye.—永遠に続く真の詩は自然を礎にしなくてはならぬ William Wordsworth
この本を読むと、文学を馬鹿する理系には「天下のnatureが出版を続けられたのは、同じ出版社の“不思議の国のアリス”が大ヒットしたからだし、創刊号の表紙にはワーズワースの詩、巻頭言はゲーテの引用から始まったということを知らないのか」と言ってやりたくなります。

先ほども書きましたが、特に博物学や生物学なんかの身近な領域では職業科学者とアマチュアの壁がそれほど高くなかったため、読者投稿欄でアマチュアがガンガンプロの論文に文句つけてくるのが面白いところ。そんなのに混ざってダーウィンが投稿してきたりするなんて信じられないぐらい豊かな時代ですよね。

ダーウィン、ウォレス、ハクスリー、レイリー卿、南方熊楠に寺田寅彦なんてこの時代好きから見たら知り合いみたいな名前ばっかり出てきて嬉しくなります。

3.ケーキの切れない非行少年たち



ちょっと前に話題になってたかな。内容的には「そうでしょうね」という感じ。


4.NIGHT BOAT TO TANGIER


ブッカー賞にノミネートされてましたね。まだ多分未邦訳。
南スペインのアルジェシラス、真夜中のフェリー乗り場。タンジール行きの船を眺めながら脈略のない話をし続ける、くたびれたアイルランド人ギャングの二人。
彼らは長い間行方不明になった娘を探しているのです。そこに巻き込まれる若い男と犬一匹。記憶の中では全く成長しない女の子と同じく、終わりの見えない不必要な会話達は、それ自体が時を止める魔法のようです。

こういう不条理で雰囲気のある小説はもっとゆったり読みたいなと思ってまだ途中。ところで女の子が見つかる気がしないのですが。


こんなところ。大人になってからノンフィクションにばかり手が伸びますが、時々良い小説読むと気持ちが潤いますね。

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